大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和45年(特わ)702号 判決

被告人

1本店所在地

東京都豊島区西池袋一丁目四二番一号

有限会社エバゲリーン

(旧姓中村)

(右代表者代表取締役強矢文子)

2本店所在地

同区東池袋一丁目四三番一五号

トキワ興業株式会社

(右代表者代表取締役中村昭正)

3本店所在地

同区西巣鴨一丁目二番一九号

(住居表示実施前 同区西巣鴨三丁目八五〇番地)

有限会社サンテ

(右代表者代表取締役中村利武)

4本籍

埼玉県秩父郡小鹿野町大字小鹿野三二二番地

住居

東京都豊島区西巣鴨一丁目二番一九号

職業

会社役員

加藤卓二

大正一五年九月一九日生

被告事件

法人税法違反

出席検察官

五味朗

主文

1  被告会社有限会社エバグリーンを罰金二七〇万円に

被告会社トキワ興業株式会社を罰金二五〇万円に

被告会社有限会社サンテを罰金一五〇万円に

被告人加藤卓二を懲役六月に

それぞれ処する。

2  被告人加藤に対し、この裁判確定の日から二年間

右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社有限会社エバグリーンは、東京都豊島区西池袋一丁目四二番一号(昭和三六年四月設立当初は同都同区池袋二丁目八八八番地であつたが昭和四一年一月住居表示実施により現在地に表示変更)に本店を置き、特殊浴場の経営等を営業目的とする資本金三五〇万円の有限会社、被告会社トキワ興業株式会社は、同都同区東池袋一丁目四三番一五号(昭和三八年五月設立当初は同都同区池袋東一丁目四三番地であつたが、昭和四一年一一月住居表示実施により現在地に表示変更)に本店を置き、特殊浴場の経営等を営業目的とする資本金一、〇〇〇万円の株式会社、被告会社有限会社サンテは、同都同区西巣鴨三丁目八五〇番地(昭和四一年一一月設立当初は同都板橋区仲宿一二番地であつたが昭和四四年四月右現在地に移転し、昭和四五年四月住居表示実施により同都豊島区西巣鴨一丁目二番一九号と表示変更)に本店を置き、特殊浴場の経営等を営業目的とする資本金二〇〇万円の有限会社であり、被告人加藤卓二は、右各被告会社の取締役として右各被告会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人加藤卓二は右各被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、右各被告会社の売上の一部を除外して簿外預金を蓄積する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ

第一、(一) 昭和四二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社有限会社エバグリーンの実際所得金額が一八、四八二、〇四四円あつたのにかかわらず、同四三年二月二九日東京都豊島区西池袋三丁目二七番九号所在所轄豊島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、六二四、二八三円で、これに対する法人税額が四一二、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額六、一九九、〇〇円と右申告税額との差額五、七八六、三〇〇円を免れ

(二) 昭和四三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社有限会社エバグリーンの実際所得金額が一五、三一〇、七二五円あつたのにかかわらず、同四四年二月二八日前記所轄豊島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四、三〇二、八五九円で、これに対する法人税額が一、一七四、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額五、〇〇一、二〇〇円と右申告税額との差額三、八二六、四〇〇円を免れ

第二、(一) 昭和四一年七月一日から同四二年六月三〇日までの事業年度における被告会社トキワ興業株式会社の実際所得金額が一〇、五一九、七一四円あつたのにかかわらず、同四二年八月三〇日前記所轄豊島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一二三、一四二円で、これに対する法人税額が三四、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額三、四七一、六〇〇円と右申告税額との差額三、四三七、二〇〇円を免れ

(二) 昭和四二年七月一日から同四三年六月三〇日までの事業年度における被告会社トキワ興業株式会社の実際所得金額が一六、四四三、二〇九円あつたのにかかわらず、同四三年八月三〇日前記所轄豊島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六八六、〇五七円で、これに対する法人税額が一九二、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額五、五四五、〇〇〇円と右申告税額との差額五、三五三、〇〇〇円を免れ

第三、(一) 昭和四一年一一月二六日から同四二年九月三〇日までの事業年度における被告会社有限会社サンテの実際所得金額が七、九六二、七三八円あつたのにかかわらず、同四二年一一月二九日東京都板橋区板橋一丁目四四番六号所在所轄板橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六八四、四三七円で、これに対する法人税額が一九一、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額二、五九四、二〇〇円と右申告税額との差額二、四〇二、七〇〇円を免れ

(二) 昭和四二年一〇月一日から同四三年九月三〇日までの事業年度における被告会社有限会社サンテの実際所得金額が一〇、五九三、七〇八円あつたのにかかわらず、同四三年一一月二九日前記所轄板橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、五六四、四二七円で、これに対する法人税額が三八九、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額三、四三二、三〇〇円と右申告税額との差額三、〇四二、四〇〇円を免れ

たものである。(なお右各所得の内容は別紙一ないし六の各修正損益計算書のとおりであり、各税額の計算は別紙七の税額計算書のとおりである。)

(証拠の標目)

(かつこ内は立証事項であり、数字は別紙一ないし六の各修正損益計算書の各勘定科目の番号である。)

一、 登記官作成の登記簿謄本三通(各被告会社の存在)

一、 強矢文子、坂井忠、田川愛二、梶谷勝男の検察官に対する各供述調書(いずれも判示事実全般)

一、 坂井忠(二通)、岡芹一夫に対する大蔵事務官の各質問てん末書(いずれも判示事実全般)

一、 大蔵事務官作成の次の書面

1  銀行調査書(判示事実全般)

2  本部営業費調査書(一の35、四の43)

3  本部営業外費用の三法人、一個人に対する配賦調査書(一の32、三の36 38、四の37 39 43、五の30 31、六の34 38)

4  常盤観光株式会社において計上した関連法人事業所の費用配賦調査書(一の4 6 17 20 22 23 24 25 35 37、二の7 9 11 12 13 14 15 16 18 19 21 22 23 26 30 33 34 35 36、五の11 16)

5  常盤観光株式会社において計上したトキワ興業株式会社、有限会社サンテの営業費の配賦調査書(三の37、四の36 43、六の17 20 28)

6  有限会社エバグリーン売上高調査書(一の1、二の1)

7  有限会社エバグリーンの雑収入額調査書(一の27、二の28)

8  有限会社エバグリーンの公表帳簿と会社帳簿との対照による公表帳簿に計上もれの経費調査書類(一の4 6 7 11 13 14 16 17 18 19 20 25 35 38 39 40 41)

9  有限会社エバグリーン営業外費用(支払利子以外)調査書(一の42、二の38)

10  有限会社エバグリーンに対する本部営業費の配賦額調査書(一の31 33 35、二の37 39)

11  有限会社エバグリーンの昭和四一年一二月期法人税額調査書(一の34 36)

12  トキワ興業株式会社の簿外売上額調査書(三の1、四の1)

13  トキワ興業株式会社の雑収入額調査書(三の3、四の41)

14  トキワ興業株式会社の公表総勘定元帳と会社記帳の総勘定元帳との貸借対照表損益計算書との対比表(四の6 7 8 9 10 14 15 19 20 21 22 23 24 25 30 31 32 33 34 43)

15  トキワ興業株式会社の営業費調査書(三の33、四の26)

16  トキワ興業株式会社営業外費用(支払利子以外)調査書(三の34、四の38)

17  トキワ興業株式会社に対する本部営業費の配賦額調査書(三の35、四の35)

18  税額計算書(トキワ興業株式会社に関するもの)(三の39)

19  トキワ興業株式会社昭和四二年度法人税事業税に関する聴取書(四の40)

20  有限会社サンテの簿外売上額調査書(五の1、六の1)

21  有限会社サンテ雑収入額調査書(五の3、六の4)

22  有限会社サンテ営業費調査表(六の7 8 9 10 13 16 17 18 19 20 21 22 23 26 32 33)

23  トルコサンテ有限会社サンテ営業外費用調査表(五の24、六の36)

24  有限会社サンテに対する本部営業費の配賦額調査書(五の29、六の37)

一、 押収してある次の証拠物(昭和四六年押三八六号)

1  税務関係申告書類綴一綴(符号7)(三の39)

2  総勘定元帳三綴(符号19)(六の35)

3  (有)エバグリーン総勘定元帳三綴(符号22)(二の22)

4  (有)エバグリーン税務関係書類一綴(符号25)(一の34、二の40)

5  エバグリーン総勘定元帳一綴(符号27)(一の27)

6  (有)エバグリーン法人税確定申告書等一綴(符号29)(判示第一の事実全般)

7  (有)サンテ法人税確定申告書等一綴(符号32)(判示第三の事実全般)

8  トキワ興業(株)法人税確定申告書等一綴(符号33)(判示第二の事実全般)

一、 被告人加藤に対する大蔵事務官の質問てん末書五通(判示事実全般)(特に昭和四五年三月二五日付につき一の33、二の39、三の38、四の37、五の31、六の34)

一、 被告人加藤の検察官に対する供述調書三通(判示事実全般)

一、 被告人加藤の当公判廷における供述(判示事実全般)

(法令の適用)

1  罰条 各事実ごとに被告人加藤につき法人税法一五九条(いずれも懲役刑選択)、各被告会社につき同法一五九条、一六四条一項

2  併合加重 被告人加藤につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(第一、(一)の罪の刑に加重)、各被告会社につき同法四五条前段、四八条二項

3  執行猶予 同法二五条一項

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 松本昭徳)

別紙第一 修正損益計算書

有限会社 エバグリーン

自 昭和42年1月1日

至 昭和42年12月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙第二 修正損益計算書

有限会社 エバグリーン

自 昭和43年1月1日

至 昭和43年12月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙第三 修正損益計算書

トキワ興業 株式会社

自 昭和41年7月1日

至 昭和42年6月30日

〈省略〉

〈省略〉

別紙第四 修正損益計算書

トキワ興業 株式会社

自 昭和42年7月1日

至 昭和43年6月30日

〈省略〉

〈省略〉

別紙第五 修正損益計算書

有限会社 サンテ

自 昭和41年11月26日

至 昭和42年9月30日

〈省略〉

別紙第六 修正損益計算書

有限会社 サンテ

自 昭和42年10月1日

至 昭和43年9月30日

〈省略〉

〈省略〉

税額計算書

〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例